社会保障からみるIT業界の業務委託
前回のブログでITの人材派遣・斡旋に関するWebサイトが
ざっと30件近くあると言う話をしました。
多いのか?少ないのか?
が、IT企業も他業界と同じく人材不足だと言われています。
特に技術者がいない状況で新規事業をサービスイン(商品化)する事すら
厳しい現状が拡がっているようで。。。
まぁ世界を見渡してみるとIT中心に動いている国は多々あり、
日本は本当に遅れてしまったな〜とSwiftUIの対応状況を見ても思います。
そんな状況下で何がIT業界の問題になりこんな状況になってしまったのか?
問題提議をしなければなりません。
そんな中で再活動を始めてみましたが、
なんと!人材派遣・斡旋会社が30件以上!
人材派遣なのか?斡旋なのか?開発会社なのか?全く意味不明。
募集要項を見てもほとんどが業務委託。。。
にも関わらず、
週何日〜、
勤務時間○○時〜○○時まで、、、なんて記載されています。
業務委託で時間拘束?と疑問に思うのはおっさんだからなのでしょうか?
では、なぜ業務委託は時間拘束をしてはいけないのでしょうか?
この事例を説明出来る人材派遣、斡旋会社の経営者及びスタッフは
どれくらいいるのでしょうか?
業務委託と言うと一昔前はA企業(発注側)対B企業(受託側)プロ対プロに多い契約方法でした。
A企業はB企業に業務内容だけ伝えて後はB企業にお任せします。
B企業はB企業自体で雇用関係にある人材を現場に出向させます。
この場合はB企業と雇用関係にある人材ですので時間縛りも全く問題ありません。
が、ITは家やどこに居てもネットさえあれば出来てしまう業界ですので
そういった観点からフリーランス(個人)が増え、
業務委託 = フリーランスと言った状態が拡がったようにみえます。
しかも人材斡旋会社との契約形態も業務委託のままです。
そうすると時間指定等の命令系統はNGになります。
では、フリーランスの業務委託契約の時間拘束はなぜ駄目なのか?
簡単に言えば社会保障がないからです。
社会保障とは何か?厚生労働省
社員であれば自分から辞めると言わない限り仕事は保障されます。
あと年2回のボーナスがあります。(派遣社員はありません。)
業務に必要なPCやソフト、ネット環境、光熱費は会社側が準備してくれます。
そして毎月の給料には社会保障が付きます。
社会保障と言うと。。。。
[ 1 ] 厚生年金
[ 2 ] 健康保険
[ 3 ] 介護保険
[ 4 ] 雇用保険
[ 5 ] 税金 (扶養控除)
ある程度の規模がある企業であればこの分を企業側が保障・負担します。
なので給料総額と手取りに大きな差が出てしまい、
がっかりしている社員さんも多いと思いますが、
いずれ定年してから年金や退職金として手元に戻ってきます。
フリーランスの場合はどうなのでしょうか?
PCやソフトやネット環境、光熱費は全て自己負担になります。
ましてやボーナスや退職金はありません。
そして社会保障は…
[ 1 ] 国民年金
[ 2 ] 健康保険
[ 3 ] 確定申告した収入から割り出した税金
全て制作・開発で得た収入の中からで個人で支払っている事になります。
厚生年金と同じで65歳以上になれば手元に戻ってくるお金もありますが。
例えばフリーランスが1社と以下のような準委任契約したとします。
・作業内容:有料キャラクターサイトの月の更新作業
・勤務形態:常駐 (セキュリティ上社内で作業してほしい)
・勤務時間:週5日、9:00〜18:00
・月時間: 150時間〜170時間
・単価: 20万/月
・契約形態:業務委託(準委任)
こんな感じの契約があったとします。
上記のような案件だとフリーランス(受託側)は社会保障がないので
手取り収入が15万程度になってしまい、
時間も拘束されている事から他案件も受けられない状態になり、
この案件の契約期間中は月15万以上の収入が見込めなくなります。
となると国が推奨している社会保障基盤から外れてしまう事になるのです。
発注側は下手すれば低賃金法に接触、
もしくは下請け法に接触する事になります。
もちろん偽装請負になってしまうケースです。
ここ最近のIT業界動向を見ていると
どうしてもこの人材派遣・斡旋会社の壁(笑)が存在するようで、
更に中間マージンが発生することで
IT業界で働くフリーランスの社会基盤はズダボロです。
また企業側の人材確保もかなり混迷しているようです。
制作業のフリーランスで働く人たちは限りなくプロの腕前や才能ある人も多いはずなのに、
準委任は月時間が基準と言う拡散で
かなり軽視されてしまったように見えるのは私だけでしょうか?
人材派遣なのか?人材紹介なのか?
業務委託で常駐、時間拘束は本当に認められているのか?
斡旋会社もコンプライアンスの徹底をお願いしたい所です。
中間マージンとSES契約の話はまた後日。